2020年度 関西海外人事研究会 開催レポート<前半編>

関西海外人事研究会は2011年に発足し、今年で10期目を迎えました。これまでに延べ180社270名の海外人事ご担当者様にご参加頂いており、毎年ご参加下さっている企業様も多くいらっしゃることから、非常にアットホームな雰囲気のコミュニティとなっております。2020年度は24社32名様からお申込みを頂きました。早くも今年度研究会の前半3回の定例会が終了致しましたので、こちらに各回のまとめを記載させて頂きます。

第1回定例会

開催日時:5月28日(木) 15:00~18:00

コロナ禍で、当初対面での開催を予定していた定例会を急遽オンラインでの開催に切り替え、本年度の関西海外人事研究会がスタート致しました。
オンライン開催は本研究会発足以来初めての試みで、開始直後は全体程に緊張感が漂っていたものの、ご参加者様は積極的に画面上でうなずきや拍手をして下さったり、ZOOMの反応機能を用いる等、オンラインならではの方法で場を盛り上げて下さいました。また、関西海外人事研究会では毎年継続してご参加下さっている企業様も多くいらっしゃり、今年度から初めてご参加されるご参加者様を全員で温かく歓迎し、アットホームな雰囲気を感じられる場面もございました。

第1回定例会のディスカッションテーマは、「海外人事部門の「現実的な」理想形とは?」と「新型コロナウイルス対策への各社様の取り組みについて」でした。

海外人事部門の「現実的な」理想形とは?

「海外人事部門の「現実的な」理想形とは?」というテーマに関して、駐在員の立場に立った対応や、駐在員が安心安全に働けるようなサポートができる等、現地でご活躍される駐在員に寄り添いながら、適宜バランスの取れたサポートができる組織であること、というご意見が多く挙げられました。また、一部のディスカッショングループにおいて海外拠点の現地化というキーワードも挙げられていました。現地の実状を把握できる、現地に合った制度設計であるといったことが、具体的な状態としてディスカッションメモに記載されていました。

新型コロナウイルス対策への各社様の取り組みについて

新型コロナウイルスの世界的流行、駐在員および帯同ご家族の帰国の判断について悩まれた企業様も多くいらっしゃったのではないでしょうか。グループディスカッションでも帰国の判断について、現地との連携が上手く取れなかったことで状況がタイムリーに把握できず判断が遅れてしまった、こういった有事の際にどの部署が舵を取って対応を進めていくのかが明確でないことに課題感を感じた、というお声が多く挙がっていました。未曾有の事態を受け、世界的規模の有事への対応について、今後社内体制やその対応の見直しに着手される方向性を掲げていらっしゃいました。また、一時帰国している駐在員の税務対応についても、各社様引き続き対応についてご検討されていらっしゃるご様子でした。

「コロナウイルスによる駐在員対応と最新ビザ」に関するミニセミナー

最後に株式会社トッパントラベルサービスの風間弘将氏をゲストスピーカーに迎え、コロナウイルスによる駐在員対応と各国の最新VISA情報をお伝えするミニセミナーを実施致しました。ここ最近の各国就労VISAの申請基準が厳しくなっている現状も踏まえ、そのような状況下で就労ビザを取得するためのポイントや留意点について国別に解説頂きました。

第2回定例会

開催日時:6月26日(金) 15:00~18:00

第2回定例会も引き続きオンラインでの開催となりました。なかなかご参加者様同士対面でざっくばらんにコミュニケーションできない状況に寂しさを感じながらも、いよいよ本研究会のメインコンテンツである、ご参加者様からの海外人事テーマに沿った取り組みや事例の発表と、グループディスカッションが始まりました。
ご参加者様もZOOMでの定例会に徐々に慣れてこられ、各社様の発表中、チャットに気になったことや発表企業様へのご質問をご投稿頂き、積極的に情報交換されていらっしゃいました。

また、定例会外での交流も盛んになり、本研究会資料の格納場所として利用している会専用のクラウドフォルダにあるブログ機能を活用し、タイムリーに発生したお悩みに関するご参加者様同士のやりとりが活発化してきました。
第2回定例会のディスカッションテーマは「海外赴任者の保険付保・労務管理」と「海外赴任者の危機管理」でした。

海外赴任者の保険付保・労務管理

駐在員および帯同ご家族の保険適用範囲とその負担額の決定方法や現在契約している保険内容の見直し、そして、駐在員の方の労務管理方法(主に時間外労働の管理)について、各社様どのようにご対応されているのかざっくばらんに情報交換されていらっしゃいました。発表担当者様から他のご参加者様へのご質問として、駐在員とのコミュニケーション方法が挙げられていました。コロナ禍において、日本本社側が現地の状況をタイムリーに把握することが必要であるということと、駐在員および帯同ご家族のメンタルヘルスのケアの一環として、より一層駐在員の方々とのコミュニケーションを各社様重視されていらっしゃるご様子が伺えました。

海外赴任者の危機管理

本テーマについて、今回の新型コロナウイルスへの対応を踏まえ、多くのご参加者様から有事の際の意思決定者(多いのは現地法人の社長や人事部長)や担当者に対して危機管理研修を実施されていないことが課題感として挙げられていました。既に研修を実施されている企業様では、専門のコンサルティング会社様にアウトソースされていらっしゃるケースや、コンサルティング会社様提供の資料を用いて社内で赴任前説明会を実施されているケースがございました。また、発表担当者様が本研究会ご参加企業様を対象に実施したアンケートでは、体調管理に関する項目も設けられ、約半数の企業様が駐在員の基礎疾患や持病、健康診断の結果を把握されているのに対し、帯同ご家族に関しては把握されていない企業様が8割という集計結果となっておりました。

第3回定例会

開催日時:7月31日(金) 15:00~18:00

定例会の会場へお集まり頂ける企業様が前月と比べて多くいらっしゃったことから、第3回定例会は対面とオンラインでのハイブリッド型で開催致しました。当日会場ではカメラを複数台用意し、会場へお集まり下さったご参加者様と、オンラインでのご参加者様がお互いに顔を見せあいながら交流しました。会場にお集まりくださった方々が和気あいあいとお話されているご様子を拝見し、改めて一刻も早い新型コロナウイルスの収束と、ご参加者様全員が対面でお集まり頂ける日が来ることを待ち遠しく感じた一日でした。

第3回定例会のテーマは「子女教育手当」と「海外人事業務の効率化・標準化」でした。

子女教育手当

インターナショナルスクールに通わせる場合の対応がホットトピックとして挙げられていました。日本人学校や現地校への通学を原則とし、現地に日本人学校が無いケースではインターナショナルスクールへの通学を許可、その際の費用については全額もしくは一部会社負担としていらっしゃる企業様が多数派という状況でした。また、2019年から日本において幼稚園が無償化されたことを受けて、帯同未就学児の教育費負担についても取り上げられていました。現状の運用を継続されていらっしゃる理由として、もともと自己負担額が少ないことや、従来の運用で説明がつく等が挙げられていました。

海外人事業務の効率化・標準化

アウトソーシングサービスの活用やシステム化による海外人事業務の効率化について、各社様事例の共有をされる中、駐在員からの問い合わせをAIチャットボットで対応することがトピックスとして挙げられていました。既にAIチャットボットを利用されている企業様が数社おられ、メリットやデメリットについてざっくばらんにお話されていらっしゃいました。また、海外人事業務の標準化という観点からは、マニュアルの整備や後任者の育成というキーワードが挙がり、業務が属人化しないような体制の確立に向け、各社様試行錯誤されていらっしゃるご様子でした。

ご参加者様からのお声(定例会開催後アンケートより抜粋)

  • 発表はオンラインでも全く問題がなく、また発表中にチャットに発言できるのも良かったと思います。テーマに関して、グループディスカッション時に他社の具体的な対応方法を聞くことができたことも良かったです。
  • テーマが分かりやすい内容だったので、ハイブリッドでも活発に意見交換ができたと思います。
  • 当日は会場にいましたが、会場内はいつもの雰囲気で、オンラインとの方とはオンラインで画面越しに話を聞くのも慣れてきていたので意外と違和感はありませんでした。
9月から始まる残り3回の定例会でも、引き続き、ご参加者様と共により充実した研究会にしていければと思っております。
■ お問い合わせ
株式会社パソナ
グローバルHR事業本部
パソナ海外人事研究会運営事務局

03-6734-1270
globalhr@pasona.co.jp

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上記以外の時間に承りましたご連絡に関しましては、パソナからのご返信が翌営業日となります。